相続税とは?種類と納税までの流れを解説
誰もが避けては通れない「相続」。家族や親族が亡くなったとき、その遺産を引き継ぐ際に発生するのが「相続税」です。
中小企業の経営者や経理担当者にとっても、事業承継や個人資産の相続が避けられないテーマであり、税務対策として正しく理解しておくことが求められます。
この記事では、相続税の基本的な仕組みから、相続税の種類、納税までの具体的な流れ、そして注意点について詳しく解説します。
相続税に関する手続きは煩雑で、申告期限も決められているため、事前に全体像を把握しておくことが何よりも重要です。
この記事を読むことで、以下のことがわかります。
- 相続税とは何か、誰に関係する税金なのか
- 相続税にはどのような種類があるか
- 相続開始から納税までの流れとスケジュール感
- 相続税対策として押さえておくべきポイント
相続や事業承継を視野に入れている中小企業経営者の方、経理部門で資産税の基本を理解したいご担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
相続税とは?中小企業経営者が押さえるべき基本知識
相続税とは何か
相続税とは、亡くなった人(被相続人)の財産を相続または遺贈によって取得した人(相続人や受遺者)に課される税金です。
取得した遺産の総額が一定の基礎控除額を超える場合に課税され、税務署への申告・納税義務が発生します。
この税金は、現金・預金、不動産、株式、貴金属、美術品、ゴルフ会員権など、さまざまな資産に対してかかります。
相続税がかかるケースと課税対象
相続税がかかるのは、下記の条件に該当するケースです。
- 相続または遺贈によって資産を受け取った場合
- 遺産総額が基礎控除額を超える場合
基礎控除額は以下の計算式で求められます:
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例えば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は「3,000万円 + 1,800万円 = 4,800万円」となります。
この基礎控除額を超える遺産がある場合に、相続税の課税対象となります。
相続税の種類とその内容
相続税は一律の税金ではなく、取得した財産の金額や関係性、財産の種類によってさまざまな計算方式が適用されます。
法定相続分による課税
相続税は「各人が相続または遺贈により取得した財産の額」に応じて課税されます。
この際、課税のベースとなるのが「法定相続分」による分割です。
法定相続人の構成により、相続割合は以下のように決まっています。
| 相続人の組み合わせ | 法定相続分の割合 |
|---|---|
| 配偶者のみ | 100% |
| 配偶者+子 | 配偶者1/2、子1/2 |
| 配偶者+父母 | 配偶者2/3、父母1/3 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 |
この法定相続分に基づいて各人の相続分を算出し、そこから税額を計算するのが基本です。
相続税率と累進課税
相続税は、取得金額に応じた累進課税方式が取られています。
以下は2025年時点の税率表です。
| 課税価格(取得金額) | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| ~1,000万円 | 10% | 0円 |
| ~3,000万円 | 15% | 50万円 |
| ~5,000万円 | 20% | 200万円 |
| ~1億円 | 30% | 700万円 |
| ~2億円 | 40% | 1,700万円 |
| ~3億円 | 45% | 2,700万円 |
| ~6億円 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
資産の取得額が大きくなるにつれて税率も上がる仕組みで、高額な遺産を受け取った相続人ほど多くの相続税を負担することになります。
相続税申告と納税の流れ
相続税は「申告と納税の期限」が非常に厳格に定められています。
流れを理解していないと、申告漏れや延滞税など、余計なトラブルにつながる可能性があります。
相続税の手続きスケジュール
以下は、相続発生(=被相続人の死亡)から納税までの主な流れです。
| 期限 | 内容 |
|---|---|
| 死亡日から7日以内 | 死亡届の提出 |
| 死亡日から3ヶ月以内 | 相続放棄・限定承認の申述期限 |
| 死亡日から4ヶ月以内 | 準確定申告(被相続人の所得税) |
| 死亡日から10ヶ月以内 | 相続税の申告・納税 |
相続税の申告先と納税方法
相続税の申告は、被相続人の住所地を管轄する税務署に行います。
申告書の提出は、相続人の中から代表者を決めて行うのが一般的です。
納税方法は現金一括納付が原則ですが、資金が不足している場合は延納や物納といった制度も利用可能です。
ただし、どちらも審査が必要で、事前準備が欠かせません。
相続税対策で押さえるべき3つのポイント
相続税は事前対策を講じることで、課税額を大きく減らすことが可能です。
以下は、中小企業経営者が特に意識したいポイントです。
1. 生前贈与の活用
年間110万円までの生前贈与は非課税となるため、早期から家族に分散して贈与しておくことで、相続税の対象となる財産を減らせます。
ただし、計画的に実施しないと「連年贈与」と判断され、課税されるリスクがあるため注意が必要です。
2. 生命保険の非課税枠活用
生命保険の死亡保険金には、法定相続人×500万円までの非課税枠があります。
例えば相続人が3人であれば、1,500万円まで非課税で保険金を受け取ることができます。
これは納税資金の確保としても有効です。
3. 事業承継税制の活用
中小企業経営者にとって避けて通れないのが「事業承継」です。
事業用資産に関しては、事業承継税制という優遇措置があり、一定の条件を満たせば相続税を全額猶予することができます。
ただし、この制度の活用には、都道府県への事前申請や、後継者の継続的な経営などの要件があります。
まとめ
相続税は、「誰にでも関係する可能性のある税金」でありながら、正しく理解されていないケースが少なくありません。
特に中小企業の経営者にとっては、事業承継や資産管理の観点から早めの準備が不可欠です。
この記事では、相続税の基本的な仕組み、課税の種類、納税までのスケジュール、そして対策方法について解説しました。
相続税は期限管理と準備がすべてと言っても過言ではありません。
相続税について不安がある方、事業承継を見据えた資産管理を考えている方は、ぜひ一度専門家にご相談ください。
当事務所では、個別の相続相談、相続税の試算、事業承継対策など幅広くサポートを行っております。
お気軽にお問い合わせいただければ、丁寧にご対応いたします。
